
一年目の100万円プレーヤー
山田直佳さん(38歳)
日本交通株式会社三鷹営業所勤務
山田さんは昨年転職しタクシードライバー1年生となった38歳。8歳と3歳のお子さんを持ち、一家の大黒柱として日々都内を走り回る山田さんは、仕事をどのように捉え取り組んでいるのだろうか?
■タクシードライバーの華麗な一日■
利用者としては身近なタクシーだが、その運転手さんとは移動の間のほんのひとときしか接することができないため、その業務の詳細は神秘のベールに隠されている。どれくらい走っているのか? どうやってお客さんを探すのか? 気になるタクシードライバーの一日の行動とはどんなものなのだろう?
「日本交通のドライバーは朝8時、9時、10時、11時のいずれかに点呼を受けてから翌朝までの乗務を月に11回~13回こなします。他の人
はわからないけど、僕の一日はけっこう規則正しいですよ。朝出発したらお昼までは走り続けます。40分ほど昼休憩をとってそこからまた走る。17時過ぎから始まる帰宅ラッシ
ュに備えて、16時頃から一時間ほど車の中で仮眠をとることもあります。
タクシーの稼ぎ時って、人々が家に帰るからやっぱり夜なんですよね。割増料金になる終電後は一番の稼ぎ時。ここでどうがんばるかが一日の売上げに関わってきます。時間帯やポイントを押さえて効率よく走るのがコツかな」
なるほど、都会であればいつでもどこでもつかまえることができるタクシー、実はドライバーは我々利用者の行動パターンを読んで目の前に現れていたのだ!
■100万円プレイヤーまでの道■
「一年前までは教習所の講師をしていました。でも少子化の影響をモロに受け生徒の数が減り、どんどん収入が下がっていったんです。家のローンを組んだばっかりだったからこれはヤバイと転職を決意しました。もともと親戚が日本交通で働いていたのもあって、こちらにお世話になることにしたんです」
もともと運転が好きだったという山田さん、ドライバーとして活躍するのにそう時間はかからなかった。
「「入社すると二種免許を取るための勉強と研修を2週間ほど受けます。先輩のドライバー が助手席に乗って実際の業務の手順を覚えたらもう独り立ち。
初めて乗せたお客様のことはよく覚えてますねぇ。ガチガチに緊張して『ミラー良し!』とか声に出して確認したりね。この初乗務は大成功だったんです。一日で7万3千円の売上げを出しました」
タクシー業界では、1ヶ月の売上げが100万円を越えるとそのドライバーのことを100万プレイヤーと呼び称える。一日の売上げに換算すると7〜8万円。この数字を初日に叩きだしたのだから素晴らしい。しかも山田さんは今でもコンスタントにこの売上げを出しているという。
「もちろん最初はまぐれですけどね。何も考えずにただ走り回ってたから。今はちゃんと考えて走ってますよ。一年近くやってきて自分なりの稼ぎ方がわかってきました。仲間との情報交換も大事なことですね。この会社のドライバーは連帯感があって有益な情報を教え合ったりするんです。普通はオイシイところは独り占めしちゃうらしいんですけどね」
■プロとして心がけていること■
「ドライバーは、人の命を預かっているんです。以前、運送業をやっていてね、何億円もするような高価な機械をすごく神経使って運んだことがあるんだけど、考えてみれば人の命ってそれより価値があるものなんですよ。それをお預かりするんだから事故は絶対にあってはならないし、少しでも快適に利用してほしい。それだけはいつも心がけています」
言われてみればたしかにそうである。車での事故は運が悪ければ命を落としかねないものになるのだ。ドライバー次第で客の人生が決まることもあるかもしれない。
「いつでもいい状態で乗務できるように、体調管理にも気をつけていますよ。自転車に
乗って運動とストレス解消をしたり。ドライバーは座りっぱなしの仕事ですから、腰を痛
めたり痔になったりするんですよ。職業病ですね。生活時間も不規則になるし、僕も最初
は体調崩したりしたんですけど、運動するようになってからはバッチリですね。いつでもベス
トな状態でお客様をお乗せできます」
■一期一会の醍醐味■
「この仕事をしていて一番おもしろいのは、たくさんの人に出会えるということです。お客さんによってはいろんなお話をしてくれます。そうやって人と話すのが楽しいんですよ。自分と同年代で成功している実業家なんかと話すとすごく刺激を受けて、自分もがんばろうって気持ちになる。酔っぱらいのお客様も、困るときもあるけどけっこうおもしろいんですよ。陽気に様々なお話をされますから」
タクシードライバーほど多くの人と蜜に接する職業はない。目的地へ向かうまでのほんのひとときを車内で共有する。この濃密な時間は他の仕事ではちょっと味わえないものだろう。
「あとおもしろいのはね、この仕事が完全に実力主義だというところ。新入りもベテランも同じ条件で仕事をして、売上げに見合った収入が保証される。やりかた次第では入った途端に月収30~40万円なんてことも可能なんです。いくら働いても報われないこの不景気の中で、これってすごく魅力的なことじゃないですか? やればやるだけ返ってくる、だから思いっきりがんばれる。若い人にもぜひ飛び込んできてほしいですね!」
タクシードライバーというのは表舞台で目立つような仕事ではない。しかし裏方の仕事だからこその、稼ぎ方や楽しみもある。なんとも幸せな仕事かもしれない。
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